五感を刺激し感性を磨くフレンチ「レストランμ(ミュー)」 / アートビオトープ那須

グルメ

旅の楽しみである食事。

日本各地の名産やホテルの名物料理など、その場所ならではの食を堪能したいものです。

ここアートビオトープ那須にある「レストランμ」は、その願望を叶えてくれる場所でした。

ゴエミヨジャポンに掲載されている実力派。ゴエミヨというとミシュランの約10年後に日本上陸したため、認知度は比較的低いかもしれませんが、フランスではどちらも超有名なガイドと聞きます。

食事はコースメニューのみ。もちろん宿泊客以外でも楽しめますが、前日の12時までの完全予約制です。水庭の散策前のランチや、散策後のディナーなど、思い思いの楽しみ方で。

まず最初にグラスでシャンパンを頂き、メニューを眺めます。

コースなので食事はフィックスされていますが、ドリンクを赤にするか白にするかそれともスパークリングか・・・なんて悩んでいると、ペアリングも出来るとのこと。それならぜひ、とお願いすることにしました。

レストラン内は全面ガラス張り。日暮れまでは色濃い自然を眺めながらの食事が楽しめるロケーション。会食にも使えそうな、解放感のある空間です。

まずはじめは白玉蜀黍〈シロトウモロコシ〉のアイス。

生のトウモロコシというと青臭さが気になりそうですが、アイスの甘さがシロトウモロコシの青臭さを中和し、フレッシュさに昇華されています。

真っ白な実と甘みが特徴のシロトウモロコシは、実は栃木でも収穫されるそうで、実は近くの道の駅でも購入可能とのこと。ただし朝早くに行かなければ購入は難しいらしく・・・翌日昼過ぎに行くと、当然のことながら購入は叶わず。

お次は枝豆

タルトの上に敷き詰められた瑞々しい枝豆は、夏野菜そのもの。

トマトのエスプーマ

なんと繊細で鮮やかな一皿でしょうか。赤・緑の華やかなミニトマトに、雪のように儚いエスプーマ、そして目にも鮮やかなエディブルフラワー。出てきた瞬間に、感嘆の声をだしてしまいました(笑)みどり色のミニトマトは、断面がまるでシャインマスカットのようにも見えます。

フェンネル 縞鯵

厚めに切られた縞鯵は、繊細な舌触りであるもののやわらかさとコリコリとした食感が両立していました。甘くスパイシーな香りのフェンネルと相まって、コク深さを堪能。小さなぶどうの実が、まるで宝石のように添えられています。

パン、これが最高に美味しくて・・・無理を承知の上聞いてみたら、翌日お土産に購入させていただけることに。大変恐縮です。

ヤングコーン 猪の燻製ベーコン

ほんのりとした甘みとやわらかなヤングコーンもさることながら、この猪の燻製ベーコンが絶品でお酒のアテにも最高。カルボナーラにしても美味しいんだろうな~なんて思いながらモグモグ。

シャブリがでてきたので、お次は海鮮かな?

口当たりが軽く、とりわけ飲みやすいです。シトラス系のさわやかさを感じながら。

食事も中盤になると、外は真っ暗。夜の帳が下りると、レストランはより一層落ち着きを増します。

しっかりとした肉厚の鮑に絶妙な火入れ。素材の魅力を少しも余すことなく堪能できる、最高の仕上がり・・・!ふっくらとした身の食感に肝バターのソースが滋味深さを引き立てます。

今回の食事の個人的ナンバーワン。まさか海無し県でこんなに美味しい鮑を頂けるとは・・・

鮎 茄子

香ばしさと水を感じられる豊かさ。程よい油をまとい、これまた火入れが抜群。

仔牛

鮮やかなピンク色を帯びた仔牛が、程よい油をまとい、さっぱりとした味わい。そこに添えられた、地場産野菜が非常に印象的でした。

驚いたのがなかなかボリュームのあるポーションだったこと。私の体格を見ていかにも大食いに見えてサービスをしてくれたのかもしれません。

キウイのシャルトリューズ

さっぱり美味しい!癒されます。

カモミールのアイス

ドイツでは母なる薬草ともいわれるカモミール。リラックスハーブなだけあって、食後・夜に食べるのにちょうどいいのかもしれない。

生チョコに、桃のフルーツゼリーだったかな・・このようなゼリーに特段感動はなかったはずなのですが、、、とても美味しかった。

若いシェフによるお料理、それも20代〜30代とも思えるようなシェフと、ホールの方も同じく同世代だと思います。それだけ聞くと、お料理は未完成かもしれないし、サービスも落ち着かないような・・・と想像されますが、実際はその真逆なのです。

もちろん食事が終わるまでそんなことを知るわけもなく。

お料理のレベルの高さと、安息とも言えるこの空間を楽しんだ後にその話を聞き心底驚きました。このギャップはこのレストランが持つ数ある魅力の一つかもしれません。

東京に戻ってきた今も、空間を含め食事の余韻を感じます。春夏秋冬・他の季節はどんな素敵な料理が待ち受けているのかという期待感、そして来年も再来年も変わらず満足をさせてくれる食事が約束された場所、そんな確信を持ちながらレストランを後にしたのでした。

部屋に戻ったあとは、露天風呂で余韻に浸り、川のせせらぎを聞きながらながらビールを楽しみました。

よろしければ併せて宿泊記をご覧ください。