紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良 / ジュニアスイートルーム宿泊記

Mariott

東大寺や奈良公園など、世界に誇る観光地を擁す奈良。旅行に訪れたことある人も多い場所だろう。良くも悪くも、京都や大阪など、近隣の都市からのアクセスがし易く、多くの観光客は日帰りで訪れ、なかなか宿泊する人は少ないらしい。私は2度ほど訪れているが、一度は修学旅行で京都からの日帰り。もう一度は、大阪からの日帰りであった。でも泊まってこそわかる奈良の魅力があるはず。ということで、奈良に足を伸ばし、そして宿泊をしてきた。

京都から奈良までは電車で約30分。出発の朝、どうやって行くのか調べると面白そうな電車があった。

近鉄の観光特急「あをによし」。

ツインシートを予約。向かい合わせ座席と、窓向き座席があるが、後者の方が人気。確かに首を回さずとも車窓が楽しめ眺めがとても良い。ただ・・・私の場合はめちゃくちゃ酔ったので、乗り物酔いする人は、向かい合わせの座席がオススメ。個人的には次乗る時は向かい合わせ席を予約する。

車内には奈良の産品を使用したスイーツやクラフトビールなどを取り扱う売店、ライブラリーなどもありあっという間の乗車だった。

奈良駅に着き、ホテルまではタクシーで移動。

下調べを全くしておらず、加えて土地勘がないので距離感も全くわからなかったが、10分もかからずあっという間に到着。インバウンドで溢れる奈良公園を通り、後ほどの鹿との戯れを想像しわくわくしていると、なんとホテルはまさに奈良公園の中に位置しているのであった。

白壁に囲われた門構えを車で通り抜けると、そこが紫翠のエントランス。

紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良は、2023年8月29日に開業し、奈良公園の西端に位置している。奈良県指定有形文化財を活用した「伝統と現代を結ぶ」ホテルで、春日大社や興福寺、東大寺などの世界遺産にも囲まれている。

そんなわけでエントランスは重厚な門構え。

ホテルに足を踏み込むと目に飛び込んでくるのは鶴の古い杉戸絵に盆栽。入口もそうだが、初見で、ここがホテルだと思う人はまず居ないだろう。それもそう、大正11(1922)年に建造され、平成29(2017)年まで奈良県知事公舎として活用されてきた建物が、紫翠のメイン棟として使用されている。

案内されたのは、ラウンジ「寧楽(なら)」。知事公舎自体は客間だったそうだが、そのためか随所に拘りを感じられる。

チェックインを終え、部屋へ案内頂いた。

宿泊棟は、メイン棟から小路を挟んだ向かい側に位置している。旧奈良県知事公舎であるメイン棟とは違い、こちらは新しく建造されたもの。ゲストは必ずこの道を通ることになる。

宿泊棟の中にはSUI Spa(スイスパ)があり、スパトリートメントはもちろん、プライベートスパ(貸切露天風呂)を楽しむことができる。が、滞在中は人気を感じなかった。全43室の客室のうち、23室は専用の温泉風呂や露天風呂付き。写真で見る限り、SUI Spaの露天風呂はこじんまりとしている。

奈良といえばの高山茶筌。茶筌のランプシェードと説明を受けたが、この大きさだとほぼ竹細工と言われた方がしっくりくる。

今回宿泊する部屋「ジュニアスイートルーム」は、2階の端の方だった。

部屋に入りまず目に飛び込んでくる庭園の眺め。窓ガラスが大きく、部屋の延長線上に庭があるような感覚に陥る。2階から庭園を眺められるお部屋とは珍しい。

自然と同化。絨毯の模様はそういうこと?

館内説明がタブレットで確認できるのは便利。

ご当地ビールなどが用意されているものの、ラフジュアリー観点ではミニバーはちょっと物足りない。紫翠では時間限定でシャンパンが無料で振舞われているので、ミニバーには力を入れていないのだろう。

ウェットエリアは広々としているが、シングルシンク。ダブルシンク派ではあるものの、かなり広々と置く場所には困らないので、これはこれでアリだと思った。

アメニティはバンフォード。

天然温泉の湯を湛えた温泉風呂がしつらえられている。湯船も新しく、気持ちが良い。スタンダードなお部屋だと、温泉ではないらしい。逆にもっと良いカテゴリだと露天風呂がある。

ウェルカムアメニティは、レモン味のメレンゲとみかん。このみかんがやたらと美味しい。

フィットネスはあるが、プールは無し。この立地なので・・

夕暮れ時、奈良公園の自然を眺めながらシャンパンを飲めるフリーフロータイムがある。「ガーデンディライト」。夕食前のひとときや、庭園の木々を愛でながら、シャンパンを楽むことが可能。

茶寮 世世Cafe

席に案内され、まず供されるのは奈良漬のあられとケークサレ(トリュフの香り)

特別感はあまり感じず、夕食前にこれでお腹が膨らんでしまうのは勿体ないと思った。

驚いたのが、このガーデンディライトは大人気、大盛況だったこと。どこに居たのかというくらい、ゲストでほぼ満席。無料ということもあってか雰囲気も食堂さながら、みんな大声で大騒ぎとラグジュアリーコレクションという響きからは程遠い・・・。

マリオットファンの囲い込みにはいいのかもだけれど、それ以外のゲストはちょっと引いてしまうような。アイデアと、場所は素敵なのだけれど。

良かったのは、飲み放題のシャンパンをわんこそばかな?ってくらいの勢いで注ぎにきてくれたこと。

夕食はホテル内で。紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良にはレストランが2軒ある。メインダイニングのレストラン「翠葉」では、奈良由来の素材を斬新な調理法でアレンジした創作料理が食べられる。そして内にはもうひとつ、蔵を再生した鮨&バー「正倉」があり、イノベーティブな鮨のコースをカウンター席で楽しめる。

今回はお鮨にて。鮨職人には思えない、若い大将が一人で握っていた。

雰囲気通りな王道なメニューを大切にしつつ、洋を感じるアレンジが多く見受けられる。イノベーティブさを売りにしているのだろう。お鮨をおかわりし、ワインをボトルで飲み、山崎のヴィンテージ30年を飲み、などしているとなかなかのお会計になってしまった。マリオットのプラチナ会員だと、マリオットボンヴォイのエリート特典で20%オフになるらしくありがたい。

昼間とは打って変わって、静けさに包まれた奈良公園の夜。

ターンダウンが終わったあとの部屋に戻ると、これまたエリート特典のスイーツギフト。ウェルカムギフトとして、1000ポイントor朝食orスイーツギフトが選べたので、今回は甘いものを選んだ。それぞれの価値を金額換算すると全然違う気がするが、朝食付きのプランを予約していたのでその朝食という選択肢はなく。そもそも朝食付きのプランしか見つけられなかった。

これがとても美味しかった。お店の名前を失念してしまったのが悔やまれる。

他にも通常のターンダウンアメニティ(チョコ菓子)があった。

翌朝。インルームでも朝食を食べられるが、レストランへ。

場所はレストラン「翠葉」。

少し遅めの時間だったからか、ゲストも少なかった。窓際席へ。

基本は和朝食。茶粥と白米を選ぶことができたので、茶粥。汁物は豚汁で、お米とお椀はおかわりできる。食いしん坊なので、おかわりをして何とかちょうど良い分量だった。全体的にどれも作り置いた温度感なのが少し残念な気持ち。洋食を食べている外国の方もいたので、事前にお願いすれば?洋食も食べられる模様。

マリオットにおけるラグジュアリーコレクションの位置付けを正しく理解できていないが、ハイエンドなホテルを目指しているならば少々気になるところがある一方で、唯一無二のホテルで印象に残る滞在になったのも事実。京都と比べると圧倒的にコスパに優れた宿、ホテル好きの方にはぜひ奈良まで足を伸ばし、泊まってみてほしい。