年度末が忙しいのは世の常。計画性が無いだけとも言えるが、自分も例に違わず、仕事で毎週のように飛行機に乗る2月〜3月。国内も楽しいけれど、最後の出国は昨年9月。海外にも行きたいな〜ということでバンコク行きの航空券を予約したのだった。
フライトはバンコク行きのJL31便。11時25分に羽田を出発するという旅行者にとって最高に利便性の高いフライト、身体的にもとても快適。羽田空港第3ターミナルには2時間ほど前に到着。第2ターミナルからも国際線が飛ぶようになったのでターミナル名を変える必要があったのだろうけど、いまだに慣れない。
実は今回、ファーストクラスの予約。ビジネスクラスの4〜5倍はする有償チケットなんて流石に手が出ないが、偶然乗りたいタイミングで特典航空券を予約することができたのだ。約1年ほど前、タイ航空のファーストに乗る機会があったが、初めての日系ファースト、そしてJAL。ワクワクします。
張り切ってチェックインカウンターへ向かい、スタッフさんに声を掛けると目の前のチェックインカウンターに案内・・・ではなく、別の場所へ案内される。
何も知らず着いて行くと、重々しい扉。
「JAL First Class Entrance(JALファーストクラスエントランス)」
2024年の1月にオープンしたばかりの施設。その名の通り、ファーストクラスの搭乗客専用の出発口兼ラウンジといったところで、JALの一番上のステータス「ダイヤモンド」であっても入れないらしい。その存在を知らず、案内されてびっくり。営業しているのかもわからない入り口は、間違えて入ってきてこないようにしているのだろう。
入り口でスーツケースとパスポートを預けて、着席。中は広くはないものの座席間隔もゆったりしているのは流石のJALさんというところ。自分以外は欧米系のカップルが1組。あっという間にチェックインは完了。ラウンジと同じ種類でもシャンパンやジュースのサービスがあれば、グッと気分が高揚すると思うんだけどな。そのうちサービスとして始まる気がする。
スーツケースにはもちろん、手荷物にもタグをつけてくれた。ファーストクラスには相応しくない、軽くてお気に入りのペラペラの手ぬぐいバッグ。やはりここはレザーのバッグが妥当なのだろうが、あいにく持っていない。
タグはめくると日付と氏名が印字されている徹底ぶり。この抜かりのなさはさすが日本航空。そういえば、初めて海外に行った11歳の時、学校の先生にJALを使ったと伝えると「JALは日本で一番の航空会社よ!」と言われたのを思い出した。そん時は全くピンとこなかったが、今は何となく理解できるところである。
JALファーストクラスエントランスには、専用の優先保安検査場が付いている。今日は土曜日、一般の保安検査場は結構な混雑具合だったけれど、秒で通過。すごい。そして向かったのは「JAL ファーストクラスラウンジ」
JALは完全に平会員でノンステータス。昨年夏のバンコク往復時はビジネス利用、サクララウンジの利用資格しかなかったので、ファーストクラスがどんな場所が気になっていた。流石により高級感がある気がする。
ラウンジは2階建てのつくり。メインダイニングがこちら、「JAL’s Table」。混雑しているというほどではないが、なかなかの賑わい。隠れて?一人になれるようなソファースペースもあり、こりゃ長居したくなるなあ。
スパークリングではなく、しっかりとシャンパンがある。「CHAMPAGNE CHAPUY シャピュイ」。初めて飲んだが、フレッシュで美味しい。
鶴亭へ。JAL’s Tableよりかなり空いていてとても良い!なぜこちらを使う人は少ないのだろう。
座席からモバイルオーダーでお鮨を注文。
マグロにブリヒラ。ブリヒラは近大生まれと書いていたが、マグロ以外にもあるのを初めて知った。マグロも美味しかったけれど、おそらくメバチマグロ?できれば本鮪が食べたかった・・・(贅沢)。いずれにせよ、お鮨としてはとてもちゃんとしたものだった。
朝食とっておらずおかわりしたくなったが、機内食が控えているため、ぐっと我慢。今思えばもう少し他のメニューも食べてよかったかも。近くでマイレージオタクの若者が大声で知識を披露していて疲れてしまい、移動することに。
食後は上の階へ。「JAL’s SALON」。
国産のクラフトビール、プレミアムウイスキー、クラフトジンなどが楽しめるとのこと。何も知らずに入ると、山﨑12年や白州、響など、欲しくてもなかなか買えないウイスキーがずらりと並んでいたのには驚いた。山﨑でハイボールを注文。1日の消費量も相当だと思うが、どのくらいなのか気になる・・・。
鶴亭も空いていてよかったが、こちらも客数が少なく、かつ静かに楽しむお客さんが多くてリラックスできた。ナッツくらい頼んでもよかったが、ぐっと我慢。
昨年夏のバンコク時に利用したサクララウンジ。時間帯の違いもあると思うが、客数も限られているし、客層も異なり、やっぱりファーストクラスラウンジは特別感を感じられる。今年の4月以降もまた、雰囲気が変わるのだろう。
ゆっくりしすぎたら、ラウンジにほとんどひとが居なくなってしまった。ほとんどが同じくバンコク行きだったようだ。
お世話になりました。もう一度来たい。
ゲートにつくとちょうど搭乗が始まったタイミングだった。ドヤ顔でグループ1へ。
ボーディングブリッジは、「ファーストクラス」と「その他」に分かれている。JALはビジネスの席数が多過ぎるので、さもありなんという気がしなくもない。
座席配置は、1-2-1の2列。合計8人までだが、今日の乗客は6名だった。
一人当たりの面積は凡そベッド1台分程度。窓は4枚分。
着席すると、CAさんからウェルカムドリンクの提案と、入れ替わり立ち代わりのご挨拶。シャンパンを飲みながら雑談をする。四捨五入すると40になる齢になったこともあってか、この類の雑談が我ながら上手くなった気がする。
「はじめてのJALファーストで楽しみにしてました。色々と教えてください」と正直に伝えた。
サイドボードにはヘッドフォン、基礎化粧品、めぐリズム、アメニティキット。
アメニティキットはゼロハリバートン。少し地味な気がするが、この日の乗客は全員が男性だったのでちょうどいいのかもしれない。内側は岩手県発のブランド、HERALBONY(ヘラルボニー)コラボで大変かわいい柄。個人的には表と裏が逆の方がよかったが、一般的な男性受けはこっちでしょう。
アメニティは乗客の性別に応じて分けられているようで、男性の私はSHISEIDO MEN。女性はclé de peau BEAUTÉで、ともに資生堂だった。SHISEIDO MENは以前使用していていい物だと承知しているものの、使用したことのないクレドポーに惹かれる。ということで交換をしてもらった。
フェイスパックがついていて嬉しい。
ちなみに2か所あるお手洗いには、クレドポーの基礎化粧品が完備。当然フライト中はコチラを使えばいいので、席にあるものは基本的にプレゼントということだろう。基礎化粧品類以外は、他クラスのお手洗いと一緒。
リラクシングウェアの用意もあって、CAさんから着替えのご提案。ファーストクラスに相応しくない格好で割と快適だったので辞退したところ、お持ち帰りできるとのことで貰ってしまった。調べるとnendoコラボらしい。帰宅後着てみると、形が綺麗だったのと、コットンなので着心地も良かった。飛行機ってお土産貰える場所なの?
Wi-Fiはクーポンを利用して無料で使用可能。使い方が悪くいまいち活用できなかったが、LINEで画像をゆっくり送る程度には使えた。通常のLINEメッセージ送信やX(旧:twitter)くらいなら、ほとんどストレス無しだった。ビジネスクラスでも、まあまあの使用料金。
最初の方に搭乗したけど、あっという間に離陸。ヘッドホンを使用すると、邪魔にならないようケースを回収してくれた。さすがファーストクラス。もちろんノイキャン付き。
何度観たかわからない、ラ・ラ・ランドで幕開け。韓国ドラマ「ペントハウス」をスマホにダウンロードしていたが、あまりのホスピタリティにドロドロしたドラマを見る気分ではなくなった。のめり込みすぎるドラマは、現実逃避がてらエコノミークラスで観たい。
水平飛行になると、お楽しみの食事の時間。駆けつけ一杯、お飲み物を聞かれる。
JALファーストと言えば・・・サロン。小売価格で1本20万だなんて庶民には到底手が出ないシロモノ。これが東京発だと1本積載されている。滅多に飲めるものではないので、何事も経験。
泣く子も黙るおシャンパーニュの王様サロン。 ゆっくりと上から下まで飲むと、どんどん表情が変わり、至福な時間。想像以上に柔らかく、酸は感じながらもスモークのアロマが広がる。上空では味覚が鈍るけれども、それでも格別な美味しさ。
アペタイザーに砂肝のコンフィに、イカ。種類はわからないが、地上で食べるフィンガーフードといったところ。次の献立からが、気合いの入った品々だった。
ファーストクラス機内食は、東京神楽坂「神楽坂 石かわ」店主石川秀樹氏と「虎白」店主小泉瑚佑慈氏監修による献立。さして詳しくも無い私でも知っているような超有名店。洋食は御殿山・カンテサンスの岸田シェフによる監修。ファーストなのである程度余裕のある積載をしてそうな気がするが、フードロスが勿体ないのであらかじめ和食をプレオーダーしておいた。
前菜五種 左下から時計回りに
〈虎 白〉蛤 独活(うど)トリュフソースかけ
〈石かわ〉黒毛和牛 茗荷 白胡麻たれ
〈石かわ〉蒸し雲丹 白海老 刻み昆布 土佐酢ジュレ
〈虎 白〉桜鱒 黄韮 四杯酢
〈虎 白〉甘鯛 蕗 醤油あん
想像以上に美味しい。機内食だからと侮ることなかれ、どれも相当な完成度の高さ。それでいて一つ一つのポーションがしっかりとあり、これだけのものを一斉に食べられる機会は中々無い。特に気に入ったのは、黄韮と、甘鯛。調味の具合がとても良い。
御 椀 〈石かわ〉 筍 若布真丈 木の芽
若布と書いて、ワカメと読む。ワカメ真丈というものを頂くのは初めてだったが、ふんわりとした風味とシャキっとした筍の食感の組み合わせがとてもしっくりとくる。
中 皿 〈虎 白〉 鮑 毛蟹 酢橘ジュレ キャビア
有名なキャビアは、鮑&毛蟹と供される。貝のスプーンがセオリーだが、漆塗りのスプーンで食べたいと思った。日本をのフラッグシップJALさん、いかがでしょう。
まずはキャビアを少しだけスプーンに乗せ、ドラピエで流し込む。至福。シャンパンがあっという間に無くなる。ちなみにキャビアの産地はフライトによって色々あるらしいが、国内産が多そうな雰囲気だった。今回はロシア産。お店でいただくキャビアは国内産ばかりだったので、久々の本場のキャビア。
お次は鮑&毛蟹&キャビア
あまりに幸せそうに食べていたからか、CAさん「ご飯をお持ちしましょうか?」と。そして出来上がったのがキャビア丼。こうして食べるといくら丼と似たようなものだなあと。同じ魚卵だもの。そしてCAさんからキャビア丼のはじまりのエピソードも聞かせてもらう。興味のある方は聞いてみてほしい。
煮 物〈石かわ〉 目春酒蒸し 新玉葱 蚕豆
味噌椀〈虎 白〉 蕗のとう 長葱
香の物〈虎 白〉 春蕪甘酢漬け 昆布
中皿と比べると見た目のインパクトはないが、和食で締め括るのはこれだよな〜という組み合わせ。食べ合わせが良い。
甘 味
〈石かわ・虎 白〉 ココナッツわらび餅
食べたい欲が高まっていガルガンチュワのわらび餅、こんな場所で出会うとは。和とも洋とも言えそうなわらび餅は、ほどよくひんやりとするからか重すぎず、”ご馳走”を締めくくるのにピッタリだった。
程よい調味具合だったので品数があり、かつポーションもしっかりとありながらも良い具合の満足感で終わった。最近の飛行機はシートが良くなった分、ファーストとビジネスの差が小さくなっているような話を聞くが(昔はしらない)、差をつけられるのは食事やアメニティ、ソフトの部分なのだろう。
食後。横になろうとしてたら「エアウィーヴにベッドメイクできますよ」。とはいえ6時間足らずのフライトタイム、手間取らせて申し訳ない気持ちもありつつ「ぜひお願いします!」。
初めてだから色々教えてくださいと最初にお伝えしたのが功を奏し?配慮をしてくれた場面も多かったものと思われる。あとで雑談していると、やはりスタッフ同士で色々と共有されていたらしい。恥ずかしながら。
エアウィーヴは両面でそれぞれ硬さが異なり、疲れた人は硬め側、リラックスしたい人は柔らかめ側を。
時差はあるし姿勢が固定されるしパーソナルスペースは狭いし寝れないし・・・と何かしらのストレスを感じる国際線での移動。何のストレスも感じず、この時間が続いてほしいと何度も頭をかすめたのは、さすがJALのファースト。残念ながら、早着らしい。パイロットさんにゆっくり飛んでと心の中でお願いするも伝わらず。なんてしょうもないことを考えているうちにうとうとと寝てしまった。
2時間ほど寝た後、着陸前のお食事を勧められた。アラカルトメニューはこのタイミングで頼むのが一般的らしい。
メニューブックには、カツサンドや焼鳥、角煮丼など、そそるメニューがたくさん並ぶ。ただどれも今のお腹の状況だと楽しみ切れないこと必至。フルーツもバンコクで食べるしなあ。でも何か食べたい。そう思って選んだのは担々麺。やっぱり麺は別腹。
JAL特製 『ソラノイロ』 トマト香る担々ヌードル
ソラノイロどころか機内の照明の具合で変な色になってしまったが、想像以上に本格的で驚いた。「うどんですかい」をちょっといい感じに仕上げたくらいの期待値だったのでいい意味で裏切られた。本日の一番人気らしい。香りも良く、ずるずるとあっという間に完食。さっきまでの満腹気分はなんだったのか。麺はちょっとやわらかめ。
食事を終え、プラダを着た悪魔の続きを鑑賞。何度見ても高揚感を感じる映画。自分は仕事人間じゃないし共感できるわけでもないけど、ファッション業界でのわかりやすいシンデレラストーリーには心を掴まれる。
かの有名な、ロイヤルブルーティー “クィーン オブ ブルー”
湘南の会社がつくった、ワインボトルに入ったお茶。水出しのようなすっきりとしたお茶は、水分が不足しがちな身体の隅々に行き届く気がする。(酒しか飲んで無いので)。エヴァンのチョコレートも一緒に持ってきてくれた。最後の最後まで楽しませてくれたJALのCAさんたちありがとうございます。などと思ったらアンケートの葉書を渡されたので、帰国後その旨を書いて投函しておいた。
バンコク到着!