2024年3月13日に東京・麻布台ヒルズに開業。
アマンの世界初の姉妹ブランドホテルで、サンスクリット語で「魂」を意味する「ジャヌ」は、人と人とのつながりを育み、調和を取り戻して、歓びを分かち合うことをコンセプトとしたホテルとレジデンスであり、これまでにないビジョンを掲げるライフスタイルブランド。
近年爆増しているライフスタイル系ホテルと一線を画するのは間違いないだろうが、ライフスタイルブランドというとどうしてもカジュアルな想像。アマンがどう落とし込んでいるのか、宿泊を通して楽しんできた。「平和」を意味するアマンとはまた異なった雰囲気があることだろう。
麻布台ヒルズに来たのは2回目。あまりの広さに、どこを歩いているのかわからなくなる。なんとかJANUのエントランスを発見。
レセプションは5階。
巨大な岩で作られたカウンターが目を引く。都市部のアマン系列(ではないけど)は、やはり重厚感が似合う。奥には東京タワーがこれでもかと存在感をアピールしている。
上は落ち着いたタイミングでの写真だが、チェックイン時は人で溢れているのに待機できるようなソファもほぼなし。空間としても狭い。子供が泣き叫び、アマンを期待してきたであろう欧米のゲストは顔を顰め、地獄の様相だった。だからかはわからないが、部屋までの案内はなく、エレベーター前で鍵を渡されただけであった。オープンして間もないからか、少なくともJANUはJANUであり、アマンではないことを理解して訪問すべし。
部屋数は122。最も狭い部屋でも55平米を誇る部屋は、グレーとベージュを基調としたインテリアで心地の良い空間に仕上がっている。客室は6階〜13階と、都心のラグジュアリーホテルでは珍しい低層である。
今回宿泊するのは、プレミアルームで65平米。
ベッドルームとリビングルームの区分けはないながらも、それぞれのスペースがしっかりと確保されており、開放感がある。ソファは奥行きがあってリラックスできる。
部屋の方向にもよるが、眺めの抜けた部屋に滞在することができた。特にこれといった眺めではないのが正直な感想。詳しくはわからないけれど、フロアマップから伺うに東京タワーが見られる部屋は一部のスイートだけな気がした。
ウェットエリアとベッドルームは隣り合っていてプライバシーがない前印象だったが、障子のようなスライドドアが機能していて問題なく区切ることができる。そしてこのスライドドアは照明付き。
このバスタブの作りが、長湯するのに向いておらず首が痛くなってしまった。バスピローが欲しかった。
もちろんバスソルトも。このあたりはアマンを感じるセンスで素敵。
シャワーブースのシャンプー類も全てディスペンサー入りでスッキリ、好ましい。
お部屋にはウェルカムスイーツとカード。
お水は瓶入り。このカバーで覆われている感性、とても好きです。アマンタカを思い出す。
冷蔵庫内はアルコールを除き、コンプリメンタリー。
麻布かりんとう
アマン東京と同じく、テレビは隠されている。リモコン操作で出し入れでき、テレビを見なくとも一度は出し入れすること必須。
タブレットのインターフェースがとてもよく印象的だった。タブレットを通し、時間指定込みのリクエストが可能で、ストレスが低減される。もちろんインルームダイニングも注文可能だが、料理の代金に加え注文の度にデリバリーフィーが2,000円必要という驚愕のシステム。「料理のサービス料に含んどいてよ!😢」と思うかどうかが、お金持ちと一般人の違いなのだろう。
お部屋の作りは、基本的にとても良いと思った。
ただ実はこの部屋は、2部屋目。お願いをして変更して頂いた。
厚意で対応して頂けたのはありがたい。最初の部屋は完全に隣のマンションビュー。開放感というか、圧迫感がかなり強め。どのくらいの距離感かというと、洗濯物を干している方と目が合う、そのくらいの近さ。幸い、バルコニーに出て体を乗り出せばトーマス・ヘザウィックの建築を目にすることができるが、良い眺めとは言い難い。低層ホテルなためこのあたりは想定して宿泊する必要がある。基本的には、はじめからシティビューのお部屋を予約するということなのだろう。
さて、少し休んだ後は、ジャヌが誇るウェルネスセンターへ。
場所は3階。カードキーをかざしエリアに入ると、受付があるので利用の旨を伝える。するとどこからか男性スタッフがやってきて、案内をしてくれた。
約4,000㎡の広さを誇るジャヌ ウェルネスは、他のお客さまと一緒に楽しむグループセッションから、自分自身を探求するプライベートレッスンまで、バリエーション豊かなプログラムをご用意しています。都内最大級のジム(340㎡)、25mの温水プールにラウンジプール(ジェットバス)や暖炉、広々としたリラクゼーションスペースがあるプールエリア、5つのムーブメントスタジオ、7つのスパトリートメントルーム、ハマム(トルコ発祥のサウナ)とバーニャ(ロシア発祥のサウナ)を備えた2つのプライベートスパハウスなど、他にはない充実の施設は、ホテルご宿泊者さまと「ジャヌ東京 ウェルネスコレクティブ」会員さまのみがご利用可能で、会員さま専用のメンバーズラウンジも備えています。
https://www.janu.com/janu-tokyo/ja/wellness/
ということで、同じくアマン東京と比較して、よりウェルネス寄りに力を入れているのがJANUというイメージなのかなと。実際訪れてみて、間違いなく東京ではNO1の水準の充実度に感じた。改装中のパークハイアット東京を含めると、新宿の方が好きかもしれないが、この辺りは完全な好み。
純粋なジムエリアはこんなかんじでかなり広々。お水は紙パックの富士ミネラルウォーター。今のスタンダードになってしまったが、できればもっと大容量がいいなあ。
ランニングマシンからの景色は唯一無二の個性を感じる眺め。
スタジオは5か所。スタジオプログラムなども行っているそう。もちろんプライベートトレーニングもあるのだろう。ロッカールームで水着に着替え、最も楽しみにしていたプールエリアへ。
迫力のある空間!来た人全員が広いと感じる天井高とその面積。
25メートルプールが4レーン分、当然ながら温水。もちろんメインはプールなのだが、この空間が広すぎて、少々落ち着かない。
左手に目をやれば、ラウンジプール(ジェットバス)
もちろんプールサイドなのだが、必ずしも泳ぐことを目的に来なくても良い気がする。もちろん場所柄飲食物の提供は叶わないが、ラウンジという表現がしっくりくる。ような。
施設としての広さも素晴らしいが、麻布台というこの場所に、これだけのものを仕上げた事実がすごい。さすが森ビルプロジェクト。確かキャップは貸してくれた気がするが、ゴーグルは無かった。
プールは別に・・・という方、サウナはいかがでしょうか。
水風呂もあり〼。ただし整いチェアは無いので、結局プールエリアに行くのが正解?
ジャグジー。
更衣室で金持ちそうなおじさんが「東京は何でも安く感じるな~ニューヨークなんて~~」と話すのを聞いて、より非日常を楽しむことができた。フィットネスジムの会員だろうか。
夜は予約していた中華料理「虎景軒(フージン)」へ。ジャヌ東京のレセプションと同じく3階にあるレストランは、東京タワーを間近に眺めながらのお祝いやビジネスディナーにもぴったりな雰囲気。実際、宿泊客より圧倒的にビジターが多いと感じた。
ロビーから見える東京タワーは格別。
部屋に戻るとターンダウンがされている。ターンダウンは食事の時間に合わせてお願いしておいた。そのタイミングでリクエストしておいたスキンケアキットは、オサジでした。OSAJI。
パジャマはリネン。肌触りがよく、今の季節にピッタリだった。ターンダウンギフトにお箸。
ジャヌパティスリーのスペシャリテ、タルニーという名前のケーキ。バラを模したケーキの中はベリー中心で酸味がしっかりとしていて、夜にあっさり食べられた。外側のチョコレートコーティングの食感がパリパリして美味しかった。
おやすみなさい。
朝食会場はジャヌグリル。ビジター利用が出来るのかは不明だが、食事をしているのはほぼゲストに見受けられた。10組以上のゲストが居た気がするが、おそらく日本人は我々だけだった。テーブルについてくれたスタッフは日本人だったが、その方を除くと、スタッフもほぼ外国籍(な見た目)。タイミングによっては日本語が通じないと思われる。アジア系のスタッフはみんなニコニコしていて愛らしい。
そんな外国に来た気分で頼んだのは和食。アマン東京にしろ、アマネムにしろ、京都にしろ、アマンは和食が美味しい(と思っている)。正確にはアマンではなく、アマン系列だが、期待を裏切らないものだった。
フードプレゼンテーションの美しさはアマンのエッセンスを感じるし、味もとても美味しく感じた。もちろん洋食も素晴らしいのだろう。
朝食後はお腹を馴らし、ゆっくりとチェックアウト。部屋の玄関口にあったクラフトが、とても素敵だった。
チェックイン時とは打って変わって静かな空間でチェックアウト、職場へ向かった。
開業して3か月足らずJANU東京。ラグジュアリーホテルであることは間違いないが、アマン東京と比べると多少さっぱりとして軽い印象を持った。それが良いか悪いかは好みだと思う。中華料理のフージンはとてもエネルギッシュで美味しい体験だったし、部屋の作りも使いやすい。ウェルネスセンターは都内トップレベルでまた体験したい。全てが満点ではないかもしれないが、とても面白い滞在となった。
個人的なオススメはシティビューorスイートの部屋(出来れば東京タワービュー)を予約すること。スイートと言うととんでもない金額な気がしてしまうが、アマン東京よりもリーズナブルに泊まれると思うと、選択肢に入ってくる方も多いのではないだろうか。