旅好きなら一度は憧れるアイランドホッパー路線。グアムからいくつも島を経由して、ホノルルに向かうユナイテッド航空の路線のこと。2020年のフライトを予約するもコロナ禍でキャンセル。念願かなって搭乗してきた。出発は羽田空港の深夜便、UA848。23:35出発なので休みをとらずとも出発できる、サラリーマンの味方である。
預け荷物もなかったのでチェックインは完了。経由地の諸々の条件をパスしていることを確認している様子を見ていると、乗り継ぎの客は多くないようだ。少なくともグアムからのアイランドホッパーに乗る日本人は、自分一人だけであった。

出発まではANAラウンジ。週末なのできっと普段よりも大賑わい。できれば浴びたいシャワーは5時間以上待ちだった・・・。金曜日なので酒を飲んでがっつり食べたい気分だが、気持ち控えめに。

搭乗ゲートは端の端。まあ遠いこと。

あまり魅力的なシートではないですね・・・。

機内は皮張りの座席。

短時間だったので大丈夫だったが、長時間だとこの座席は厳しい。狭さはしょうがないが、座り心地がいいとは思えずお尻が痛かった。金曜日の深夜便なので、ほぼ満席。

機内食は2種類から選べた。アルコールのみ有料。

初グアム!面倒だが一度入国する必要がある。タイミングが悪いことに、この1週間前に「Guam-CNMI ETA」が必要になってしまった。申請するにあたり、アメリカ敵対国への渡航歴の確認項目があった。
ESTAでも同項目はあるようだが、問題とされる国のうち渡航歴があるのはキューバのみ。ただしテロ支援国家に指定されたのが2021年1月以降で私が訪れたのは2019年の夏。問題ないと思っていたが「Guam-CNMI ETA」では対象期間に含まれてしまっていた。不安に思いながらチェックを入れ、申請することに。ただのトランジットなのに審査が下りなければマーシャルに渡航できない・・・と渡航を目前に控えトーンダウンしてしまったが、杞憂に終わった。


ユナイテッド航空のラウンジ、ユナイテッドクラブへ。営業時間が変則的で、朝の時間であれば問題なく利用できる。日本へ向かう帰りは夕方の便だったが、開いてなかった。






早朝なので食欲が湧くはずもなく、フードは何も食べなかった。アメリカだな〜と感じる品々。乗り継ぎの約4時間少々、このラウンジで仮眠。相当な暑がりを自負していたが、機内と同じくとても寒く風邪をひく寸前。

さて、搭乗。マーシャル諸島・マジュロが目的地だが、まずはチュークへ。チケットは通しで1枚だけ。

グアムからハワイを結ぶ路線。

今回はコスラエ・クワジェリンを経由しないフライトである。

シートは羽田〜グアム間と同じ。

最初の1区間目、チューク行きの機内食。後にも先にも機内サービスはこれだけである。もう一度行くことがあるなら、パンかお菓子を持っていく。

チュークに近づくにつれ、素晴らしい環礁が見えてきた!

チューク空港へ着陸。1時間ほどのストップオーバーで、機内に残っても出発ゲートへ降りてもOKとのアナウンスが流れたので、降りてみることにした。ミクロネシア初上陸!

ちょっとしたスタンドに、お土産があった。


コテコテのTシャツ

マーシャル諸島ではアミモノが有名と聞くが、ポリネシアでもアミモノというのだろうか?とてもかわいい。

ボーディングのアナウンスが始まったので搭乗。




お次はポンペイ空港。上空からは美しい環礁を楽しむことができたものの、空港に近づくにつれものすごい豪雨。着陸できず、初めてのゴーアラウンドを経験。状況を伝える機内アナウンスはなくて、窓際の人以外は気づいていなかった。

ポンペイにはナウル航空が就航している。

こちらの空港にもかわいい、小さなバー。


搭乗。少し前に出発する予定のナウル航空機が滑走路にいて出発できず30分以上滑走路前で待機することに。こんなに小さな空港で、滑走路混雑起因の遅延を経験するとは!
上空から眺めるマーシャル諸島の環礁が一番の楽しみだったが、残念ながら太陽が沈んでしまい、全く景色が見えない・・・。たぶん遅延してなくとも明るくは見えなかったような。
堅実なみなさまは日が短い季節はそのあたりを含み置いて渡航していただきたい。馬鹿すぎて情けないが、何も考えず、当然見られるものだと思ってたのでちょっと悲しかった。マジュロ出発時の楽しみということで・・・。

ということで真っ暗な中到着。「LOKWE」はマーシャル語でヤッコエと読み、「こんにちは!」の意。

牧歌的な入国審査を通過。1泊と伝えると「まじかよ!」的なことを言われるが、まあまあ居るんじゃないの?と聞くと「いるね」とのこと。

空港からはホテルのコンプリメンタリーシャトルを利用。ホテルの予約時にお願いしておいた。空港にタクシー待ちはおらず、あらかじめ手段を考えた方が良さそう。とはいえたぶん、そこらへんにいる人にお願いしたら多分連れてってくれると思う。みんな気が良い人ばかり。
マジュロには代理店を通して予約できるホテルがほぼ無く、メールで予約。お世話になったのはMarshall Islands Resort。この国で最もホテルっぽいホテルだと思われる。日本人経営のダイブショップもあり、日本人の声が聞こえてきた。
マーシャル諸島で事業をされているMJCCさんという会社でも代行してくれるようだが、たった1泊のために手を煩わせるのも気になり、直予約をした。レスポンスは2日くらいあれば帰ってくるが、文面もなんとなくおおらかで予約の時点で漂う南の風。営業している確信がなかったので、メールの返信がきた時はほっとした。

部屋はとても清潔で快適。YouTubeも見れた。想像以上にきちんとしたホテル。



シャンプーコンディショナー、マーシャル諸島製の石鹸が用意されていた。給湯器は台湾製。



全室オーシャンビュー。室外機がちょっとうるさかった。


荷物を部屋に置いて、スーパーマーケットへ散歩。空港に着陸した時は小雨だったが、ホテルを出るとバケツをひっくり返したような豪雨・・・なんと不運な。空港とは違い、流しのタクシーがたくさん走っているので移動には不便しない。ドライバーも明るく気がいい。
とはいえ、話したマーシャル人は口を揃えて「何日間もずーっと雨が降り続けていて嫌になる」と言っていたので、この季節(12月)は覚悟しといた方がいいのだろう。何も知らずカンカン照りの常夏をイメージしてきたのは甘かった。



なんと日本の冷凍食品を購入することができる。ギョウザにシュウマイ2種。

和牛のポスターに、お漬物まで。それもそう、マーシャル諸島は人口5万人足らずの小さな島国にもかかわらず、60人近くの日本人が在住している。日本の会社が営業する小さな商店もあるようで、意外と日本製品の入手には苦労しないのかもしれない。

スーパーの近くの中華屋に行くも営業しておらず。Google mapの営業時間はあてにならないと分かっているが、、、残念。以前トンガで訪れた中華屋は、島国独特の情緒があって、味はさておき印象深かった。若い中華系の女性が働いていたが、中国から遠く離れた当地でどのような人生を送っているのか思いを馳せる。もちろん中国語は話せないので想像するしかないのだが。


中華料理に振られたが、そもそもレストランの選択肢がとても少ない。加えて土曜日だからか営業しているお店を見つられなかった。


ホテルの前には台湾領事館?の車が停まっていた。レストランのテラス席ではウェディングパーティーが行われており、派手に賑わっている。日本語も聞こえてきたので、たくさんの日本人が参加していた模様。
結局ホテルのレストランへ。

地元の家族連れが何組か食事をしている。メニューを見ると意外と品揃え豊富だが、畜産業が行われているとも思えないこの国で、少しでもローカルっぽいものをということで選んだのはポキ。大胆な角切りのマグロは食べ応えがあった。

生魚を食べるからか、この国ではワサビがデフォルトらしい。ごくごく普通、期待値通りのワサビというのが、日本人的にはとても嬉しい。


島ではあらゆる場所に工芸品のアミモノが飾られている。先ほど行ったスーパーマーケットでも小さなものを購入した。
目が覚めるとこんな天気。昨晩は散々だったが、晴天!マーシャルまで来て雨しか見られないのは悲しすぎるので、胸を撫で下ろす。

出発は11:35。ホテルのシャトルは3時間前の8時半頃出発するというので、早起きをして街に繰り出す。

とはいえ何があるわけでもない。

ホテル目の前の目抜き通りも、朝はほとんど車が走らず。

海では用を足しているローカルが居た。島国でよく見る光景。
この国で特筆すべきは台湾の存在感。台湾と外交関係のある12カ国に含まれるマーシャル諸島。あらゆる場所に台湾の国旗がはためく。そしてほんの少し前に、頼清徳総統が訪問したそうだ。実際グアム発、マジュロ行きの飛行機では台湾人が何人も乗っていた。中国人も居たが、皆ミクロネシアで降りて行った。

日本在住としてはお世話になりたくないが、外国に来て日本大使館を見るとほっとする。いつもありがとうございますと心で唱える。

カフェがあるわけでもない、途中に寄り道ができそうな場所は昨日のスーパーだけだったので、再訪。お土産に良さそうなものを探すもほぼなし。

Tシャツとキャップは、マーシャル仕様のものが販売されている。

日本食・アジアの食品も多い。
マーシャル製のものといえば、昨晩購入した工芸品・アミモノと、石鹸くらいしか見つからなかった。ということで石鹸をお土産に購入。

時間もないので、ホテルへ回り道して戻ろう。車のナンバープレートはいかにも南国のそれでめちゃくちゃ良い。そういえば、ホテルと空港以外では手持ちのクレジットカードがどれも使えず。USドルを多めに持って行ってよかった。

外務省のデータによると、同国への支援国は米国・日本・オーストラリアの順。一方で、走っている自動車はほとんどが韓国メーカーなのが意外だった。ホテルのドライバーにどの国と強い繋がりがあるの?と尋ねるともちろん一番は米国とのことだったが、次点で台湾を挙げていた。ホテルの給湯器も台湾製。台湾が国として存在感を感じさせてくるのははじめての経験で、とても興味深かった。

天気は悪くないが、お天気雨がパラパラと降ってきた・・・
この国は犬がとても多い。そして皆、口角が上がっており、幸せそうなのが印象的だった。




ホテルの売店。ほぼアクセサリーのみ。




近隣国から輸入していると思うが、鼈甲があったのは驚き。ホテルの人に尋ねると木製だと思うけど、と言われた。

空港へ向かう。



綺麗な海。ホテルにビーチがあったようだが、失念していた。残念。



東京までのチケットを無事発券完了。レストランでスパムおむすびを食べる。ちなみに無制限のWi-Fiが使用可能。
出発ゲートには一番乗り。出国審査のオフィサーは昨日の入国審査と同じ人。「ほんとに1日だけなのか」とゲラゲラ笑っていた。


時間になり搭乗。「また来てね」の看板に、もう来ることは難しいなと哀愁を感じる。空からの眺めを期待し、Window seatに着席。ここまでは順調で幸せだった。ここまでは・・・

なぜか1時間経っても機体が動く気配がない。グアムでの乗り継ぎ時間は2時間5分。その間で入国も行わなければならず、1時間の遅延ですらギリギリだろう。
しかしながら繰り返される機内放送。「技術的な問題が発生していて、鋭意作業中」「報告できる進捗はない、もう少し待ってくれ」「いいお知らせ、もう少しで問題解決できそう」が繰り返される。
シカゴのエンジニアと連絡をとりながら作業を行っているようで、それを聞いて絶望的な気持ちになった。

2時間ほど経過したタイミングで、ナッツの配給。グアムでの乗り継ぎ失敗が確定し、覚悟をきめる。湿気たアーモンドを噛み締めながら、ため息がとまらない。。

3時間経過したころには、なぜか期待を降りて預け荷物を回収するよう指示を受ける。欠航かと尋ねるも、この時点でイエスともノーとも言われない。なら荷物を降ろす必要ないのでは、と思ってしまった。
出国済みにも関わらず、イミグレを通ることもなく、地上へ。チェックインカウンターには人が群がっていたので、自分もここぞとばかりに参戦。「ホテルや食事などの補償は受けられる?」と聞くも「現時点で伝えられることはなにもない」。
皆疲れている様子で、怒る人もいない。ホノルルから乗ってきた人、ナウルからの乗り継ぎ客なども居たが、みな落ち着いていて、ああここは楽園なんだな、とこんな時に思う。とはいえここは本当に小さな島国。代替機もなく、平気で数日の遅延もありえそう。ひたすら焦燥感。
今後のことについてはアプリかメールで連絡するから、と真っ白のコピー用紙に手書きでメールアドレスを書くように言われる。アプリはいつまで経っても当初のフライトステイタスがオンタイムのままで信用ならない。かといってメールで連絡がくることもなかった。

レストランエリアから扉を2枚隔てた場所には、バーがある。どっと疲れたが、想像以上に素敵な空間に心が躍る。そして先ほどのイミグレスタッフが楽しく酒を飲んでいた。営業時間外でバーテンも居なかったが、イミグレスタッフが探してきてくれ、なんとかビールにありつけた。マーシャルはクリスチャンの国、日曜はアルコールの販売がNGにも関わらず、ここは国際空港だからOKらしい。いいちこが並んでいたのは驚いた。
たわいもない話をしながら時間を潰す。心配をし街中まで連れて行ってくれそうだったが、向かったところで営業しているレストランやお店もほぼない。飛行機から降りて5時間弱ほど経過しただろうか、定刻の12時間後にレスキューフライトが飛ぶことが決まった!深夜の出発だが、帰国への見通しが立った。
とはいえあと7時間・・・と絶望していると、見覚えのある顔の男性が話しかけてきた。「きみを迎えに来たんだ」
なんと、滞在していたマーシャルアイランドリゾートの送迎が!チェックインカウンターで補償について質問したとき、滞在したホテルを伝えていたのだ。それをもとにユナイテッドのスタッフが連絡してくれた模様。
自分だけを乗せてホテルに向かう。一律の対応ではないことから、このホテルに滞在していたのが理由と思われる。よかったと心から思った。ただしユナイテッドのスタッフからホテルスタッフへの申し送りなどは全くないので、空港に戻る時間などは自分でコントロールしなければならないのは注意。結局ホテルには4時間だけの滞在だったが、ホテルスタッフも「4時間だけなの?!」と驚いていた。

案内された部屋は、今朝チェックアウトした部屋と全く同じ。まさか戻ってくるとは思わなかった。昼間だけど疲れきっていたので仮眠を取り、シャワーを浴びてすっきりした。

レスキューフライトの機材はグアムから向かってきている。予定では23時を過ぎる出発なので、20時頃に空港へ再び戻ってきた。空港では通常通りチェックインが開始されていて、胸を撫で下ろす。

マジュロ〜グアム行きのフライトは当然振替してもらえたが、グアム〜東京行きはここでは出来ず。そして真夜中のグアム到着後のホテルについても何も出来ないから、グアムで交渉をしろとのことで・・・。さっき横になって寝られたからまだよかったが、やはりしんどい。ちなみにホテルや一旦帰る家のない人は、空港の制限エリアが開放されていて、映画が流れていたらしい。
とはいえグアム乗り継ぎの自分はまだマシだった。
マジュロからの経由地、ポンペイ・チュークに向かう予定だった人も一律グアムに向かう上、グアム〜ポンペイ・チュークは満席で振替できないと。目も当てられない。。
ユナイテッドのスタッフは朝から同じ方。きっと疲弊していただろうに紳士的、時には笑顔でとても素晴らしかった。
昼間にもらったミールバウチャーを使ってTERIYAKIバーガーを食べる。普通にうまい。このミールバウチャーもきちんと配られるわけではなく、ちょこちょこカウンターに様子を聞きにいっていたので貰うことができた。

イミグレではやはりさっきの職員。顔馴染みになっていたので、列ができていたけどノーチェックで通過させてくれた。「ありがと!」。23時過ぎのフライトは、やはり到着が遅れ、出発は夜中の1時前だった。

上空から眺める環礁を楽しみにしていたが、外は真っ暗。空の上からマーシャルを眺めることはできなかった。

やっとグアムに到着。この時点ではこの後どうなるかわからないが、どれだけほっとしたことか。

入国後ユナイテッドのチェックインカウンターへ。フライトの振替と、ホテルの補償を求めるも「日を跨ぐ前なら補償できるが、もう跨いでるのでできない」と言われ唖然。完全にユナイテッド航空有責での遅延で、流石にそれはないだろうとお願いすると「確認してみます」とのこと。

ホテルの空きがないらしく苦戦してようだが、なんとかホテル、ミール、タクシーバウチャーを手に入れることができた。図らずも人生初のグアム滞在となる。

手配してもらったのはグアムプラザリゾート。タモン地区でとても便利だった。トラブルのおかげで?マジュロで仲良くなったフィリピン人と一緒に到着。シャワーを浴び、爆睡。

ミールバウチャーは使えるお店がかなり限られていた。せっかくならアメリカらしいものを食べたいとTGIフライデーへ。

バウチャーのおかげで無料。

グアムは気候も良く、想像以上に綺麗な島だった。ナマコがうようよいるイメージだったがこの時は違った。

事前情報では韓国人が多いと聞くも、12月のグアムは圧倒的に日本人が多い。ホテルで爆睡したのでこの頃は体調も回復、ラッキーとばかりにグアムの観光を楽しむ。

この後スーパーでお土産を買ったりして、空港へ。昨日のフィリピン人と一緒に。

定刻の24時間遅れで羽田空港に到着。予期せず疲れた旅となった。こんな経験は2度としたくないが、トラブルがあればあるほど思い出深い記憶になるのは間違いない。トラブルはもう御免被りたいが、何かのきっかけで、また再訪したいと思えるマーシャル諸島だった。