ミシュラン一つ星の日本料理店、徳ㇵ本也。
知らない人はいない京都の老舗料亭「和久傳」。その高台寺と室町で板長を務められていた松本進也氏が、2023年12月にご自身のお店をオープンしたという。

開店数ヶ月で予約がとれないお店となり、1年も経たないうちにミシュランの星付きとなった。奇跡的に予約がとれたので念願かなって訪問。家庭画報でも特集がされていた。
その店名は中国古典『大学』の一節「徳は本なり」に由来し、「徳を積み、励むことを大事とする」という意味が込められている。

滞在中のパークハイアットでタクシーを頼むと、ハイヤーがアレンジされちょっとしたVIP気分で到着。
数寄屋建築の匠「三角屋」が手掛けた数寄屋造りの一軒家。カウンター9席と6名まで利用可能な個室があり、今回は2名だが個室を利用させていただいた。最大で15名、昼夜で30名と、非常に小さなお店である。




うにの黄身酢 伊勢エビ

モロコとばちこ、そして牛蒡。はじめのほうからお酒が進む。

お椀は白味噌。ふっくらとした河豚の白子と、こちらにも伊勢海老。究極に手をかけて作り上げられている。

お刺身のブリは、氷見のもの。食材への愛情を感じる。



口に入れる前からわかる、その美味しさ。なくなるのが惜しくて、全ての一口を噛み締める。

少しずつ集めていたという、素敵なアンティークの酒器。違った側面の繊細さにも心惹かれる。

クエ。火入れが良く、ふわふわ。脂のノリがいいのに、しつこくなくさっぱりとしている。


ダイナミックな炭火焼き、宮崎の赤牛にクワイ。レーズンナッツのソースとの相性が抜群。

鴨のつみれ 梨木神社「染井の水」でひいたお出汁は生きている。




みかんのシャーベット

最後はお抹茶と苺大福。
ごちそうさまでした。

個室ではあるが、最後にご挨拶をいただいた。ご近所との関係もあり、タクシーは少し離れた場所から乗る。到着時も店の前ではなく、少しだけ離れた寺町通で降りて歩く。

海や漁場からこだわり抜いたお魚を探し、山からも幸を掘り起こし、極限まで手をかけて一品一品を作り上げる。それを体現するお店だった。